おはようございます、Tatsuyaです。
今日は急遽諸事情によりセンター試験解説が挙げられなくなってしまったため、単数の”they”についての記事を挙げようと思います。
みなさんは単数の”they”ってご存じですか?
いやいや、”they”は複数だって習ったよ!
僕自身
にてはっきり書いています。
ですが今の世の中では単数の”they”というものが出てきているのが事実です。
今日はその単数の”they”についてやっていこうと思います。
1.英語圏では常識!?単数の”they”
英語圏では今や常識となっている「単数の“they”」があります。
一般的に使われるようになっているこの「単数の“they”」は、アメリカの主要辞書「メリアム・ウェブスター辞典」(The Merriam-Webster Dictionary)にも去年より、“they”の項目に新たな定義と用法が追加されることになりました。
英語ではこの「単数の“they”」を“singular they”と言います。
日本では、まだまだ普及は十分ではありませんが、これから少しずつ取り上げられていくはずです.
2. 単数の”they”の2種類の使い方
「単数の“they”」には正確には2種類の用法があります。
1つは、利便性の観点から“they”を単数形にも使って英語をシンプルにしようとする使い方です。
本来の英語では、“eveyone”などの単語を用いた場合それ以下では、個々の人々を表さなければいけません。
代名詞は男性であるならば“he”を用いて、女性であるならば“she”を用います。
今までの英語であれば、個々の人々を表すために「総称としての“he”」が用いられていました。
しかし、近年では男女平等の考えからこの表現は不適切であるとされ、“he or she”などのように合わせて書きことが今では当たりまえとなっています。
ですがこれですと、他の所有格での代名詞や目的格での代名詞でも同じく何度もこの表現を用いなければいけません。
そうすると実に不自然な英語になってしまうという訳です。
具体的には、“his or her”や“him or her”が何度も反復して登場するということです。
また前後関係で「なぜ男性が先で、女性があとなんだ」という問題も少なからず起きてきます。
そういった問題を解決するために「単数の“they”」が使われ始めています。
ですがこのジェンダーニュートラルな“they”というものはかなり古くから使われていまして、メリアム・ウェブスター辞典では、この1つ目の「単数形の“they”」を以前から「不特定の三人称単数の先行詞とともに使われる」と定義して、“they”の用法の1つに含めています。
僕自身この用法で使われる「単数形の“they”」は、大学一年生の時ルイス・キャロルの“Alice’s adventures in wonderland”にて実際に出てくるのを習いました。
ルイス・キャロルの他にも、シェイクスピアやジェーン・オースティンなどもこの用法での「単数形の“they”」を使っています。
3.辞書に新たに加わった単数の”they”
2つ目の用法が新たに加わった用法で、ノンバイナリーなジェンダーアイデンティティを持つ単数の人を指して使われる用法です。
つまり、男性でも女性でもないというような感覚をもっている個人を指して使われる用法ということです。
ここで使われているバイナリー(binary)とは、「2つから成る」という意味で、ノンバイナリーは「二つに区別されない」ということになります。
つまりは、男性でもなく、女性でもなく、その男女どちらにも区別されない、とらわれることがないという訳です。
このノンバイナリーの考え方は今は英語圏だけではなく世界各国で見られており、日本でも性別を問う欄に男性、女性、どちらでもない、のような項目が最近多くみられる気がします。
ですが日本はまだまだ他の先進国に比べてこの性別への捉え方はかなり後進国であると思われます。
理由としては、同性愛の非合法化であったり、そういった方たちへの固定概念であったりというものは少なからずある部分ではあります。
集団的意識の強い日本人は、輪から乱れた人たちつまり、マジョリティーから逸れたマイノリティーを毛嫌いする部分は未だに根付いている考え方であると思います。
そのため、その意識を変えていかないことにはこれから先どんどんと他の国に置いていかれる形になるはずです。
この「単数形の“they”」にしてもまずはノンバイナリーへの考え方を改めないことには定着もしないし、むしろ白い目で見られるのが日本であるとも思いました。
4. 単数の”they”は学校教育で習うの?
では、これからこの「単数形の“they”」がどのようにして日本の英語教育に入ってくるのか考えていきたいと思います。
日本の英語教育では、英語圏で生まれる新しい英語に関する知識というものはなかなか入ってきづらくなっています。
英語圏でのスラング英語なんかはもちろん学校教育では習いませんし、習うことと言えばどこに行っても使えるような当たり障りのない英語ばかりです。
となればこの「単数形の“they”」のようなある種の例外的な使い方のようなものは確実に除外されていくと僕は考えます。
この「単数形の“they”」は今までの“they”の使い方と何ら変わらず、複数形の時と同様に“do”を使かったり、“are”を使ったりする訳ですが、それでも“they”の捉え方は今までと主流な考え方と大きく異なる訳ですので、日本の英語教育で教えるべきこととして習うことはまずないと考えます。
教員が授業の際に少し触れることがあったり、大学の英語で少しやることがあったりしても、英語教育の一環として触れてくることはないと僕は思います。
今までの英語教育を考えてみればそれは明らかで、学校で習うような英語というものはまず日常生活で使えるものはほとんどありませんでした。
実用的な英語を教えることも、スラングのような英語を教えることもなかった日本の英語教育では、このような普通と逸脱している「単数形の“they”」は教えられることはないと僕は思います。
5.単数の”they”など英語の新知識を取り入れろ!
ですが、僕は一教員としてこのことについては絶対に触れていかなければいけない部分だと思います。
言葉に限らず新しい文化を敏感かつ柔軟に吸収する能力は大人より若者のほうが優れていることを考慮すると、こうした英語の新常識を知らない日本の学校の先生が、生徒が書いた「単数の“they”」を使った英文を間違いとして減点したり、書き直してしまったりするようなケースが起こるのではないかということがあります。
これからの時代は、テストで点が取れる英語ではなく、使える英語を教えていかなければいけません。
今のままの日本の英語教育では、四技能化が定着してきたとしても、「使えない英語」を話すということに確実になっていくはずです。
英語の新しい常識は、英語をやっている以上は常に取り入れなければならない部分です。
日本の考え方、日本人の考え方はこうだからではなく、英語を学ぶのであれば英語圏の考え方、英語の考え方を学ばなければなりません。
僕は必ず、受動態の説明をするときに「神の視点」の話をします。
“be born”「生まれる」がなぜ受動態なのかという説明をする際に、日本人にはなじみのない「神の視点」の話をすることで異文化を理解する、異文化で話されている言語を本当の身で理解することであると僕が考えているからです。
今回の「単数の“they”」に関しても同じで、ただこういう使い方をするということを教えるのではなく、どうしてこういう使い方をするのか、こういう考え方なのかという部分を説明する必要があると僕は思います。たとえそれが日本では疎まれる考え方、馴染みのない考え方であったとしても英語を本当の意味で理解する、異文化を本当の意味で理解するということはそういうことではないかと僕は思います。
そのため、「単数の“they”」を今後説明する機会が必ず訪れると思いますが、その際にはノンバイナリーなジェンダーアイデンティティについてしっかりと触れて解説する必要があると思いました。
その頃には日本のマジョリティーファーストの文化が薄れ、マイノリティーを尊重する文化が今よりも定着していることを強く望みます。
それでは今日はこの辺で。